読み方ガイド一覧2026-08-11 ・ 約7分で読める
決算とは何か — 上場企業が「何を・いつ・どこで」公表するのかの全体像
「決算」という言葉は毎日のようにニュースに出てきますが、「実際に何が、いつ、どこで公表されるのか」を通しで説明される機会は意外とありません。決算書を読めるようになる前に、まず全体の地図を持っておくと、そのあとの理解がずっと速くなります。
この記事では、上場企業の決算がどういうリズムで、どんな資料として世に出てくるのかを、初めての方向けに整理します。個別の書類の読み方は続きの記事(損益計算書の読み方・貸借対照表の読み方)で扱います。
決算とは「一定期間の成績と、期末時点の財産のまとめ」
会社は1年を「事業年度」として区切り、その期間にどれだけ売り上げてどれだけ利益が出たか(成績)と、期末の時点で何を持ち何を借りているか(財産の状態)を計算してまとめます。これが決算です。
日本の上場企業は3月末を年度末とする会社が多く、その場合、4〜6月が第1四半期(Q1)、7〜9月が第2四半期(Q2)…と3ヶ月ごとに区切って、四半期ごとにも決算を公表します。「決算発表」が年に4回あるのはこのためです。
まとめられる中身の中心は、次の3枚の表です。財務三表と呼ばれます。
| 表 | 通称 | 何が分かるか |
|---|---|---|
| 損益計算書 (そんえきけいさんしょ) | PL | 期間中の成績 — 売上と利益 |
| 貸借対照表 (たいしゃくたいしょうひょう) | BS | 期末時点の財産 — 資産・負債・純資産 |
| キャッシュ・フロー計算書 | CF | 期間中の現金の出入り |
公表される資料は大きく3種類
同じ「決算」でも、出てくる資料は役割の違う3種類があります。
| 資料 | いつ出るか | 特徴 |
|---|---|---|
| 決算短信 | 期末からおおむね30〜45日後 (東京証券取引所が45日以内の開示を要請) | 速報。最重要の数値と会社自身の業績予想が載る。監査完了前でも出せる「速さ優先」の資料 |
| 有価証券報告書 | 年度末から3ヶ月以内 (法律で提出義務) | 最も詳しい。注記・事業のリスク・大株主・役員報酬まで載る。監査済み |
| 適時開示 | 出来事が起きたらすぐ | 業績予想の修正、配当の変更、自社株買いなど。決算と決算の間に出る |
ニュースで「本日◯◯社が決算発表」と言うとき、指しているのはほぼ決算短信です。なお、以前は四半期ごとに「四半期報告書」という法定書類もありましたが、2024年の制度改正で廃止され、第1・第3四半期の開示は決算短信に一本化されました。
どこで見られるか — すべて無料です
- TDnet (適時開示情報閲覧サービス): 東京証券取引所のサイト。決算短信と適時開示はここに出ます
- EDINET: 金融庁のサイト。有価証券報告書はここに出ます
- 各社のIRページ: 上の2つに加えて「決算説明資料」(図やグラフの多い任意の資料)を載せる会社が多い
会社側が発表した瞬間から、誰でも同じ資料を読めます。証券会社の口座も必要ありません。ちなみに、相互会社の生命保険会社のように、株式を発行しておらず有価証券報告書の提出義務がない会社もあり、その場合は各社が公表する「ディスクロージャー誌」が一次資料になります。当サイトの分析が決算短信だけでなく有価証券報告書やディスクロージャー誌まで束ねて読むのは、資料ごとに載っている情報の深さが違うからです。
発表のリズムをつかむ — 「決算シーズン」
3月期決算の会社のQ1決算は7月末〜8月上旬に集中します。ピークの日には1日で数百社が一斉に発表するため、この時期は「決算シーズン」と呼ばれます。年4回、同じような集中が起きます。
自分の見たい会社がいつ発表するかは、当サイトの決算カレンダーで確認できます。発表済みの分は速報ページにも一覧が出ます。
最初の1歩 — 決算短信の1枚目だけ読む
いきなり全部を読む必要はありません。決算短信の1枚目(サマリー)には、売上高・各利益・前年同期比・配当・通期の業績予想が1枚に凝縮されています。ここだけで、
- 増収か減収か (売上は伸びたか)
- 増益か減益か (利益は伸びたか)
- 会社は先行きの見方を変えたか (業績予想を修正したか)
の3点が分かります。この3点を確認する習慣がつけば、決算を「読み始めて」います。数字の意味を一段深く知りたくなったら、損益計算書の読み方へ進んでください。
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。
かんたん財務分析くん