積水ハウス株式会社 2027年1月期 第2四半期 決算かんたん解説
今回の決算でわかったこと
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売上も利益も増えたが、伸びをつくったのは国内で、米国は利益が半分になった 2026年1月期は売上高41,979.2億円でした。前期比+1,393億円の増収です。営業利益は3,414.0億円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,321.0億円で、いずれも前期を上回りました。ただし中身を見ると、国内のセグメントがすべて増益だった一方、国際事業の営業利益は789.4億円から391.0億円へ半減しています。米国の戸建住宅で値引き (インセンティブ) が増えたことに加え、在庫の評価損を計上したことが主な理由です。
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経常利益の増加には、一度きりの色合いが濃い部分がある 経常利益は3,278億円で、前期から+261.7億円増えました。ところが、持分法による投資損益 (出資先の損益を取り込む項目) が前期比+292億円振れており、増加幅を上回る規模で経常利益を押し上げています。これは会社が一部を出資する特定目的会社で、保有不動産の引き渡しが完了したことによるものです。毎年繰り返される性質の利益とは言い切れないため、会社の実力は営業利益の伸び (+100.4億円) で見るのが安全です。実際、会社の翌期計画も経常利益3,140億円と減益を見込んでいました。
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米国大手ビルダー買収のつなぎ資金は、長期のお金への置き換えが完了した 前期に行った米国 M.D.C. Holdings の買収では、いったん短期の資金で立て替えていました。会社は2025年2月にこの置き換え (パーマネント化) を完了したと明言しています。数字でも裏付けが取れており、短期社債400億円が消え、社債の残高は6,201.2億円から7,388.1億円へ増えました。近いうちに返済が集中する不安は目に見えて下がりましたが、その代わりに支払利息は336.3億円から391.8億円へ増えています。今後は借入コストの管理が課題になります。
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年金の前提見直しで、退職給付の資産が大きく膨らんだ 年金の計算に使う割引率が1.7%から3.4%へ引き上げられました。この結果、退職給付に係る資産 (年金の積み立て超過分) は467.5億円から1,128.6億円へ増えています。当期は純利益が増えたのに包括利益は前期より減りましたが、その包括利益を支えたのが退職給付に係る調整額+391.7億円でした。ただし、この積み立て超過は金利の前提に依存しています。金利が下がる局面に戻れば、年金の債務が再び膨らんで超過分は縮みます。
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お金の流れは「買収の後始末の年」で、手元資金は厚くなった 前期は買収のために巨額の資金を調達した年でした。当期は一転して、営業活動によるキャッシュフローが628.8億円から2,163.2億円へ大きく回復しています。この稼いだお金と長期の調達で、短期の借入返済・配当・投資をまかない、なお現金を積み増しました。手元の現金及び現金同等物は4,349.2億円に達し、2期連続の回復です。あわせて親会社の関係会社向け長期貸付は3,855.7億円へ約2.9倍に増えており、親会社がグループ全体にお金を回す役割を強めています。
数字で見ると
- 売上高: 41,979.2億円 (前期 40,585.8億円)
- 営業利益: 3,414.0億円 (前期 3,313.7億円)
- 経常利益: 3,278億円 (前期 3,016.3億円)
- 親会社株主に帰属する当期純利益: 2,321.0億円 (前期 2,177.0億円)
- 包括利益: 2,754.6億円 (前期 2,938.2億円) — 純利益は増えたのに減少
- 営業活動によるCF: 2,163.2億円 (前期 628.8億円)
- 現金及び現金同等物の期末残高: 4,349.2億円 (前期 3,903.1億円)
- 純資産: 21,882.4億円 (前期 20,186.0億円)
- 自己資本比率: 42.73% (前期 40.80%)
- 自己資本利益率 (ROE): 11.32% (前期 11.71%)
- 1株当たり配当: 144円 (前期 135円)、連結配当性向は40.2%
- 国際セグメントの営業利益: 391.0億円 (前期 789.4億円)
- 会社が掲げた目標との対比: 営業利益 (目標3,400億円)・純利益 (目標2,320億円)・配当144円は達成。売上高は目標43,310億円に対し41,979億円で未達。ROEは目標11.9%に対し11.3%で未達
- 受注残に相当する残存履行義務: 18,044.2億円 (前期 17,545.8億円)
この会社は何で稼いでいるか
- 住宅を中核とする建設・不動産グループです。セグメントは戸建住宅・賃貸・事業用建物・建築・土木・賃貸住宅管理・リフォーム・開発・国際の7つに分かれます。地域別の売上は日本が約2.9兆円規模、米国が約1.2兆円規模です。
- 国内は請負とストックの二本柱です。請負では賃貸・事業用建物が営業利益878.3億円 (+7.4%) と堅調でした。管理やリフォームといったストック型では、賃貸住宅管理が管理戸数の増加と高い稼働で営業利益690.0億円 (+21.5%) と伸びています。
- 開発と米国が振れ幅の大きい部分です。開発事業は物件売却が計画を超えて進み、営業利益949.7億円 (+35.1%) と急伸しました。国際は売上12,863.6億円と規模では最大級ですが、当期の営業利益は391.0億円にとどまりました。
気をつけて見ておきたいところ
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米国戸建の不振と、のれんの減損リスク のれん (買収時に払った上乗せ分) の残高は1,145.8億円で、大半が国際事業に帰属します。当期の減損損失はゼロでしたが、直近の第2四半期時点でも米国戸建は営業損失125億円と赤字が続いています。仮に減損となれば現金は出ていかないものの、自己資本比率とROE目標の両方を傷めるため、注意が要ります。
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販売用不動産の評価損が増えている 在庫の評価損は175.2億円から197.8億円へ増えました。会社自身が、市況の悪化により追加で評価損の計上が必要となる可能性を明記しています。さらに米国では不動産開発にかかった支払利息を在庫の原価に算入しており、その残高は分譲建物408.6億円・分譲土地378.9億円などにのぼります。値下がりした場合に評価損を膨らませる方向に働くため、気にしておきたい点です。
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米国子会社の借入に付いた約束事 米国子会社 NASH FINANCING, LLC の借入 (期末残高5,369.8億円) には条件が付いています。「純資産が0米ドル未満にならない」「2会計年度連続で純損失にならない」の2つで、抵触して貸し手から請求があれば一括返済を求められ得ます。弁済期限は2026年2月から順次到来するため、借り換えの動向とあわせて確認が必要です。同社単体の純資産や損益は開示されておらず、条件までの距離は外からは測れません。
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為替が資本を大きく揺らす体質 海外子会社への出資分 (在外純投資) は、開示上ヘッジされていません。資本に累積した為替換算調整勘定は2,135.7億円あります。この項目は前期に+840.1億円、当期に-41.3億円と、円相場次第で年間数百億円規模で振れてきました。円高が進んだ年は、利益が出ていても資本が削られる可能性があります。
ひとこと
国内の全セグメント増益と、買収後の財務の立て直しが着実に進んだ1年でした。一方で米国戸建の不振が利益の足を引き、経常利益の伸びには一度きりの色合いが濃い部分も混ざっています。次の決算では、米国事業の損益がどちらへ動くか、そして評価損やのれんに追加の動きがないかを確かめたいところです。
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