東京エレクトロン株式会社 2027年3月期 第1四半期 決算かんたん解説
今回の決算でわかったこと
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売上は2年連続で過去最高、それでも本業のもうけは1割減りました 当期の売上高は2兆4,435億3千3百万円で、2期連続の過去最高です。一方、本業のもうけを示す営業利益は6,249.4億円で、前期から10.4%減りました。会社は原材料の高騰や人件費の増加を原価悪化の理由に挙げています。研究開発費も2,500.2億円から2,778.7億円へ増えており、将来に向けた費用が先に膨らんだ期でした。
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純利益の過去最高を作ったのは、株式の売却益です 最終的な純利益は5,744.5億円で過去最高でした。ただし押し上げたのは特別利益1,207.3億円で、その大半が投資有価証券売却益1,154.9億円です。取引先との関係で持っていた株式(政策保有株式)2銘柄を、合計1,170.2億円で売却しました。本業の段階では減益なので、利益の中身は「本業分」と「一度きりの売却分」に分けて見るのが正確です。
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借金ゼロのまま、大型投資と株主還元をすべて自前のお金で賄いました 設備投資は2,160億円で、宮城・九州の開発棟や東北の生産・物流棟が当期に完成しました。株主還元は配当2,716.2億円に自己株式の取得1,500.1億円を加えた規模です。これらすべてを、本業で稼いだ現金と株式の売却代金でカバーしました。借入金・社債は残高ゼロのままで、今後の設備計画も全件「自己資金」と開示されています。
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株式分割と新しい自己株式の取得枠が決まりました 期末後の2026年5月に、上限1,500億円の自己株式取得枠を新たに設定しました。あわせて2026年10月1日付で、1株を5株にする株式分割を実施します。年間配当は628円で過去最高でした。会社自身が、株主還元4,216億1千5百万円は自由に使える現金(フリーキャッシュ・フロー)の97%に相当すると記載しています。
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翌期の立ち上がりは急回復しています 翌期第1四半期の売上高は7,323.9億円で、前年同期比+33.3%でした。営業利益は2,114.1億円で+46.1%と大きく伸びています。当期の減益が一時的だったとの見方を支える数字です。通期の業績予想はまだ開示されておらず、中間期の決算発表で示される予定です。
数字で見ると
- 売上高: 24,435.3億円 (前期 24,315.7億円、+0.5%)
- 営業利益: 6,249.4億円 (前期 6,973.2億円、−10.4%)
- 経常利益: 6,303.4億円 (前期 7,077.3億円、−10.9%)
- 親会社株主帰属当期純利益: 5,744.5億円 (前期 5,441.3億円、+5.6%)
- 特別利益: 1,207.3億円 (前期 0.3億円) — うち投資有価証券売却益 1,154.9億円
- 営業利益率: 25.6% (中期経営計画の目標は35%)
- 売上総利益率: 45.3% (前期比1.8ポイント低下)
- 営業キャッシュフロー: 5,397.3億円 (前期 5,821.7億円)
- 現金及び現金同等物の期末残高: 5,054.1億円 (前期 4,850.7億円)
- 借入金・社債: 残高ゼロ (前期もゼロ)
- 自己資本比率: 71.5% (前期 70.1%)
- 設備投資額: 2,160億円 (前期 1,621億円)
- 1株当たり年間配当: 628円 (前期 592円)
- 自己株式の取得: 1,500.1億円 (前期も 1,500.1億円)
- ROE (自己資本利益率): 29.6% (前期 30.3%)
- 翌期第1四半期: 売上高 7,323.9億円 (前年同期比+33.3%)、営業利益 2,114.1億円 (+46.1%)
この会社は何で稼いでいるか
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半導体製造装置ひとすじの会社です 半導体を作るための装置の開発・製造・販売・保守を手がけており、事業区分は「半導体製造装置」の1つだけです。国内の子会社が製造した装置を本体が仕入れて販売し、海外の子会社が各地域で販売と保守を担う体制になっています。
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収益の柱は「新しい装置」と「納入後のサービス」の2本立てです 新規装置の販売に加えて、すでに納めた装置向けの保守部品やサービス(フィールドソリューション)が収益を支えています。当期は新規装置が減少した一方、フィールドソリューション側は増加しました。装置が世の中で稼働し続ける限り収益が続く、ストック型の要素を持っています。
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売上の9割は海外で、地域の顔ぶれが入れ替わりました 海外売上高比率は90.2%です。当期は中国向けが大幅に減り、韓国・台湾向けが大幅に増えました。大口顧客への集中も進み、Samsung向けが販売割合15.1%、TSMC向けが12.9%になっています。
気をつけて見ておきたいところ
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利益率が中期目標からどれだけ縮まるか 営業利益率25.6%に対し、会社が掲げる目標は35%以上です。研究開発や人員増強といった先行投資の費用が先に出ている段階なので、翌期に売上の急回復が続いたときに売上総利益率45.3%が持ち直すかが確認点になります。持ち直せば「費用が先、売上が後」という読みが裏づけられます。
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為替が円高に振れたときの、純資産への影響 海外子会社の資産を円に換算した差額(為替換算調整勘定)の残高は865.5億円で、開示上この部分に為替の備えはありません。持っている為替予約は1年以内の短期契約だけです。当期はこの差額が+255.6億円動いており、円高に転じれば同じくらいの規模で純資産が目減りする可能性があるため、気にしておく価値があります。
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在庫の大きさと、顧客の集中 棚卸資産は7,131.2億円で、総資産の25%を占める最大級の資産です。半導体市況が急変すると在庫の評価切下げが最初に効いてくるため、注意して見る項目です(当期の切下げ額は52.0億円と小さめでした)。あわせて、大口2社への販売集中が高まっている点も、地域や顧客の投資計画に業績が左右されやすくなる要因として押さえておきます。
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株主還元のペースが続くかどうか 当期の株主還元は、自由に使える現金の97%に達しました。営業キャッシュフローが5,821.7億円から5,397.3億円へ減る中での高水準です。業績が崩れた場合、最初に調整されるのは自己株式の取得と考えられます。逆に、還元を続けるために借入や社債が現れたら、財務方針の大きな変化のサインです。
ひとこと
売上は過去最高でも本業は減益、それを株式の売却益が最終利益で埋めた——というのが今回の決算の骨格です。借金ゼロで巨額の投資と還元を自前で回す財務の頑丈さは際立っています。翌期第1四半期の急回復が通期でどこまで続くか、中間期に出る業績予想が次の確認ポイントです。
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