ソフトバンクグループ株式会社 決算かんたん解説
2026-07-27 作成機械検算 99%
今回の決算でわかったこと
- 税引前利益は61,349.0億円と、前期比+44,302億円の大幅な増加になりました。ただし、その主な中身は、投資ファンド(SVF2)が持つOpenAI株式の値上がり分を利益として計上したもの(SVF事業の投資利益6,638,611百万円、うちOpenAI関連が6,465,523百万円)です。つまり利益の大部分は、まだ売却して現金になったわけではない「評価上の利益」です。
- 一方で、本業の現金収支(営業活動によるキャッシュフロー)は△4,288.3億円の赤字でした。利息の支払額が△8,392.3億円(前期△4,821.1億円)と大きく増えたことなどが響いています。利益は巨額でも、日々の現金の稼ぎで利払いをまかなえていない構造です。
- 今期は「大型投資を、保有株の売却と大規模な借入でまかなった年」でした。借入や社債による資金調達の収入は11,948,212百万円にのぼり、財務活動によるキャッシュフローは63,773.1億円の大幅なプラスに転じました。その結果、来期(2027年3月期)には返済期限が集中する「借り換えの壁」が到来します。会社自身も、400億米ドルのつなぎ融資を長期の資金に借り換えることを最優先課題と明言しています。
- 資金化の手段が変わりました。T-モバイル株の大部分売却、NVIDIA株とドイツテレコム株の全売却などで保有株を現金化する一方、Arm株を担保にした借入が3,168,545百万円、ソフトバンク株を担保にした借入が1兆1,965億円と、株式を担保にした借入への依存が強まっています。
数字で見ると
- 売上高: 77,986.5億円 (前期72,437.5億円、+7.7%)
- 税引前利益: 61,349.0億円 (前期17,047.2億円)
- 親会社の所有者に帰属する純利益: 50,022.7億円 (前期11,533.3億円)
- 営業活動によるキャッシュフロー: △4,288.3億円 (前期2,035.8億円)
- 財務活動によるキャッシュフロー: 63,773.1億円 (前期△11,163.8億円)
- 現金及び現金同等物: 53,621.5億円 (前期37,130.3億円)
- 総資産: 607,495.5億円 (前期450,137.6億円、+35.0%)
- 長期借入金のうち「1年超2年以内」に返済期限が来る残高: 6,000,187百万円 (前期2,987,768百万円)
- 米ドル建て負債の持ち高(円に対する純額): △8,794,509百万円 (前期△3,259,862百万円)
- 金利が1%上がった場合の税引前利益への影響: △103,084百万円 (前期△47,074百万円)
- 財務制限条項(借入の約束事)が付いた長期借入金: 7,172,170百万円
- 自己株式の取得による支出: 932.4億円 (前期2,370.6億円)。最大5,000億円の取得枠は累計3,303億円で期間満了
気をつけて見ておきたいところ
- 利益の柱であるOpenAI株式の評価は、市場価格のない資産の見積り評価(直近の資金調達ラウンドの価格などに基づくもの)です。次回の評価が変われば利益も大きく振れる可能性があり、翌期にこの評価額が維持されるかが最大の確認ポイントです。
- 借入には約束事(財務制限条項)が実在します。「債務超過にならないこと」「手元の現預金を12カ月分の社債償還に必要な資金以上に保つこと」「上場株式等の価値に対する負債の比率を70%未満に保つこと」などです。株式を担保にした借入の条件と合わせて、Arm社の株価が与信面での最大の変動要因とされています。
- 米ドル建ての負債が大きく増えたため、為替の動きが損益に響きやすくなっています。今期は為替差損△2,710.1億円を計上しました。金利上昇への感応度も倍増しており、来期の借り換えと合わせて、金利・為替の環境変化の影響を見ておきたいところです。
ひとこと
巨額の利益の多くは「まだ現金になっていない値上がり分」で、実際のお金の流れは大型投資と大規模な借入が中心の一年でした。来期は借り換えの成否と、OpenAI株式の評価が維持されるかが注目点になります。
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本記事は公表情報のみに基づく情報提供であり、投資助言ではありません。 出典: EDINET (金融庁) ほか各社公表資料。