株式会社みずほフィナンシャルグループ FY2026 決算かんたん解説

2026-07-31 作成機械検算 92%

今回の決算でわかったこと

  • 利益が大きく伸び、経営目標を前倒しで達成しました。 親会社株主に帰属する当期純利益は12,486億円で、前期の8,854億円から+41.0%の大幅な増益となりました。ROE(株主から預かったお金でどれだけ利益を上げたかを示す割合)は東証基準で11.4%となり、「10%超」という中期目標を2年前倒しで達成しています。ただし、利益の中には退職給付信託返還益69,762百万円などの一度きりの利益(特別利益938.4億円の一部)が含まれており、来期は同じ規模では見込めない点がレポートで指摘されています。

  • 日本銀行に預けていたお金を、短期の国債などに大きく振り向けました。 現金預け金は724,831億円から615,678億円へと109,153億円減った一方、1年以内に満期が来る国債(その他有価証券)は6,160,251百万円から12,047,110百万円へとほぼ倍増しました。「日銀に置いておく」から「短い国債で運用する」への転換で、貸出金も941,088億円から997,532億円に増えています。1年以内の債券が多いため、毎期のように資金の再運用の判断が必要になる構造です。

  • 国内の金利上昇が、本業の稼ぎを押し上げました。 お金の貸し借りから生まれる利益(資金利益)は10,452億円から13,770億円へ増えました。国内では貸出金の利回りが1.26%から1.54%に上がった一方、預金のコストは0.14%から0.28%の上昇にとどまり、その差が利益になった形です。レポートでは、資金利益の増加は国内の金利上昇が主導したと検証されています。

  • 一方で、会社が抱える金利変動のリスク量は増えています。 会社が開示している銀行業務のリスク量(VaR、統計的に見積もった損失の目安)は、年度末で2,004億円から3,001億円へ増加しました。円の債券は短期に寄せつつ、海外の長期債券や金利関連の契約でリスクを取る組み合わせになっているとレポートは整理しています。「リスクを減らした」と単純には言えない姿です。

  • 株主への還元を大きく強化し、来期は社債の返済が集中します。 自己株式の取得(自社の株を買い戻すこと)は4,043.2億円と前期の1,029.2億円から大幅に増え、決算後にはさらに1,000億円を上限とする取得・消却も決めました。年間配当は140円から145円に増え、翌期予想は150円です。一方、持株会社単体で1年以内に返済期限が来る社債は2,131.6億円から8,933.5億円へ急増しており、来期は借り換えのための社債発行が活発になる可能性が高いとされています。

数字で見ると

  • 経常収益(売上にあたるもの): 前期90,304億円 → 当期90,854億円(+0.6%)
  • 経常利益: 前期11,681億円 → 当期15,732億円(+34.7%)
  • 親会社株主に帰属する当期純利益: 前期8,854億円 → 当期12,486億円(+41.0%)
  • 総資産: 前期2,833,204億円 → 当期3,022,400億円
  • 純資産(会社の正味の財産): 前期105,238億円 → 当期114,039億円
  • 現金預け金: 前期724,831億円 → 当期615,678億円(-109,153億円)
  • 有価証券: 前期343,076億円 → 当期426,325億円
  • 貸出金: 前期941,088億円 → 当期997,532億円
  • 預金: 前期1,587,468億円 → 当期1,659,371億円
  • 資金利益: 前期10,452億円 → 当期13,770億円
  • バンキング業務のリスク量(VaR・年度末): 前期2,004億円 → 当期3,001億円
  • 繰延ヘッジ損益(金利変動に備えた契約の評価損益): 前期-4,652億円 → 当期-8,552億円
  • 自己株式の取得: 前期1,029.2億円 → 当期4,043.2億円
  • 1株当たり年間配当: 前期140円 → 当期145円(翌期予想150円)
  • 自己資本の健全性を示すCET1比率: 前期13.23% → 当期13.16%
  • 不良債権比率: 前期0.93% → 当期0.76%
  • 最新四半期(2027年3月期Q1)の経常利益: 5,990億円(前年同期比+62.5%)、通期の純利益予想は14,000億円

この会社は何で稼いでいるか

  • 銀行を中心とした総合金融グループです。 みずほ銀行・みずほ信託銀行・みずほ証券を中核に、連結子会社263社で銀行・信託・証券などのサービスを展開しています。収益の柱は、貸出などから生まれる資金利益13,770億円と、手数料収入にあたる役務取引等利益10,804億円の2本です。

  • 顧客の種類ごとに5つの部門(カンパニー)に分かれています。 国内個人・中堅中小企業向け(RBC)、国内大企業向け(CIBC)、海外向け(GCIBC)、市場運用(GMC)、資産運用(AMC)の5部門で、当期は全部門が増収増益でした。

  • 今期の増益をけん引したのは市場部門と国内個人・中小企業部門です。 市場運用のGMCは利益(業務純益+ETF等)が1,568億円から2,599億円へ、国内リテールのRBCは1,403億円から2,375億円へ伸びました。RBCは円金利上昇のもとでの預金収益などが理由として挙げられています。

気をつけて見ておきたいところ

  • 一度きりの利益と市況頼みの利益が含まれています。 退職給付信託返還益69,762百万円は来期には無くなる性質のもので、株式の売却益395,831百万円も株式市況に左右されます。来期も同じペースの利益が続くかは、これらを除いた本業の稼ぐ力で判断する必要があるためです。

  • 金利上昇には「良い面」と「痛い面」が同時にあります。 金利上昇は本業の資金利益を押し上げる一方、金利変動に備えた契約の評価損(繰延ヘッジ損益)は-8,552億円へ悪化しました。円金利がさらに上がると両方が同時に大きくなる構造だとレポートは指摘しており、片面だけ見ると実態を見誤るためです。

  • 貸し倒れに関する費用が増えています。 与信関係費用(貸したお金が返ってこないことに備える費用)は当期1,330億円で、将来を見越した引当金も107,440百万円から162,156百万円へ積み増されました。不良債権比率は0.76%に改善している一方で費用は増えており、次の決算でこの増加が続くかが確認ポイントです。

  • 来期は社債の借り換えが集中します。 1年以内に返済期限が来る持株会社の社債が8,933.5億円と前期の2,131.6億円から急増しており、規制対応のための社債の発行・借り換えが来期に集中する見込みです。発行がスムーズに進むか、金利コストがどうなるかを見ておきたいところです。

ひとこと

金利が上がる時代への切り替えを、運用資産の入れ替えから株主還元まで一気に進めた決算でした。利益は大きく伸びましたが、一度きりの利益や株式市況の追い風も含まれているため、来期はそれらが抜けた後の「素の稼ぐ力」と、増えた金利リスクへの備えがどうなるかが注目点です。

本記事は公表情報のみに基づく情報提供であり、投資助言ではありません。 出典: EDINET (金融庁) ほか各社公表資料。